当院では5年以上前より肺炎球菌ワクチンの接種を希望者に行っております。
インフルエンザワクチンなどに比べ、あまり馴染みのないワクチンですが、最近は、ちょこちょこマスコミに取り上げられているようですのでご存知の方もいらっしゃると思います。このワクチンは肺炎球菌という細菌による肺炎を予防する目的のものです。一般に急性の肺炎の場合、その原因となる微生物ではこの肺炎球菌が最も頻度が高く、とくに中年から高齢者の場合は肺炎の原因菌の50%以上を占めます。
さらに細かく言うと、小児、若年者では肺炎球菌以外にマイコプラズマという微生物による肺炎が多く、高齢者では、ほぼ寝たきり状態の方の場合は誤嚥による肺炎が多く、この場合の原因菌は肺炎球菌、肺炎桿菌、緑膿菌、嫌気性菌、真菌(かび)など様々です。
したがって、当院のように内科に通院しているような比較的元気な中高年者の肺炎では、圧倒的に肺炎球菌が原因となる可能性が高いのです。当院の経験では、肺炎患者さんの喀痰検査では90%以上に肺炎球菌が認められます。ですから、このワクチンを接種する意味は十分あるものと考えます。実際、欧米では多くの人たちが接種されています。このワクチンの特徴を簡単に述べます。
一回の接種で約5年間効果が続く
接種の方法は、インフルエンザワクチンと同様に、0.5ml を皮下注射するだけ
副作用は、ほとんど気にならない程度で、あったとしても接種部位がすこし腫れるだけ(少なくとも当院で行ったワクチン接種後に患者さんから苦情を受けたことはありません。)
費用は、当院では8000円(消費税込みで8400円)、予約制です。
5年経過した後はどうなるか?昨年までは日本の厚生省では再接種は不可としておりましたが、最近になり再接種可能となりました。欧米では以前より再接種可能でした。
内科の立場から申し上げると、65歳以上の方はワクチンを受けていただきたい。特に基礎疾患、呼吸器疾患、心臓疾患、腎臓疾患、糖尿病、脳血管障害後遺症をお持ちの方々には強くワクチン接種をお勧めいたします。小児に関しては、かかりつけの小児科医とご相談ください。