当院では平成18年、禁煙治療が保険適応された月から、ニコチンパッチの治療を開始しました。また、平成20年5月から禁煙治療経口剤チャンピックスが保険適応となったため、現在は両者の治療を行っています。保険診療では、どちらか一つの方法を選ばなければならないため患者さんと相談して決めていますが、最近では圧倒的にチャンピックスを希望される方が多い状況です。その理由の一つにはニコチンパッチが一般の薬局で自由に手に入るようになったことがあげられます。
平成22年4月現在、当院で禁煙治療を受けた方が79人いらっしゃいます。このうちの6人は現在治療中ですので73人が治療を終了したか脱落した方となります。治療の内訳はニコチンパッチが52人で治療開始後3ヶ月経過した時点で禁煙中の方、つまり一応成功したと考えられる方は9人(成功率17%)です。一方、チャンピックスは21人の挑戦で成功者が8人(成功率38%)です。今のところチャンピックスの成績が良好と言わざるを得ません。なお、現在治療中の6人中5人がチャンピックスを選んでおり期待が持てます。
チャンピックスの具体的な治療内容を説明します。内服期間は3箇月、12週で、1回の受診では2週間分しか薬を処方できないため、原則として2週間ごとに受診する必要があります。ちょっと面倒だと思われるでしょうが保険診療で決められたことなので仕方ありません。この治療でおもしろいことは、内服を開始してから7日間は喫煙できることです。
ニコチンパッチでは開始した日から禁煙しなければならなかった点とは異なります。何故7日間タバコを吸っても良いのでしょうか。ここにこの治療の秘密が隠されています。内服を開始してから数日たつと、タバコを吸っても以前と比べおいしいと感じなくなるばかりでなく、口の中が気持ち悪くなるようです。ほぼ100%の皆さんが口をそろえてそう訴えます。このために内服開始後8日目から完全に禁煙体制に入りやすくなるのです。
もちろん、タバコを吸いたいと思う気持ちがまったくなくなるわけではないので、その後は我慢しなければなりません。私たちは患者さんに、身の回りからタバコ関連の小道具をすべてなくすこと、極力アルコールの入る会合には参加しないように指導しています。
治療にかかる費用ですが、診療費として3割負担で、初回が1,700円、2~4回目まで1回1,130円、5回目が1,120円、6回目が580円、7回目が380円です。これに薬代が加わります。だいたい1日に150円弱と考えてください。