予防接種の中で日本脳炎ワクチンは有名ですが、平成17年から厚生労働省がお勧めすべきワクチン(積極的な勧奨)から日本脳炎ワクチンをはずしました。このため多くの親は、もう日本脳炎のワクチンは必要ないものだと思い、ワクチン接種を行わずに経過してきました。
しかし、日本脳炎という病気はけっして撲滅された(天然痘のように)わけではなく、現在も東アジア、南アジアにかけて広く認められています。日本でも過去11年間に61名の発生があります。
なぜ、お勧めワクチンからはずされたかに関しては、ワクチンの製造過程に問題がある、副作用に問題があるなど、いくつかの理由があるようですが、今回この問題点が解決したため、平成22年4月から厚生労働省は再びお勧めワクチンに戻すことにしました。
ただ、この5年間に日本脳炎ワクチン接種を行われずに大きくなった子供たちが大勢います。そこで、昨年(平成22年)8月に、救済措置制度が設けられました。どういうものか簡単に説明します。
通常は3歳で2回(1期初回)、4歳で1回(1期追加)、さらに9歳で2期として1回接種します。
この1期3回のうち、接種しそこなった分を、現在9歳から12歳までの子供を対象に無料で接種できるようにした制度です。
つまり、1期3回のうち、一度も受けていない場合は3回、一度だけ受けた場合は2回、二度受けた場合は1回接種できます。接種間隔は医師と相談してもらいますが、原則として6日間の間隔で接種可能となっています。
日本脳炎はまれな病気ですが、罹患すると重症になり後遺症を残しやすくなります。今後、東南アジアとの関わり合いも増えてきますので予防注射は必要です。ぜひ母子手帳を開いて確認してください。