ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)という菌がひとの胃の中に生存して慢性の胃炎を引き起こし、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、ある種のリンパ腫などの原因となっていることが分かってきました。しかも、日本人の中高齢者では7割程度が感染しているそうです。5歳くらいの小児期に感染したためで、おそらく衛生状態がよくない時代に育った年齢層に多く感染者がいると思われます。
実際に若年者には感染率が低下しています。
このピロリ菌、上記の胃の病気の原因となっていることは明らかで、菌を退治する治療(除菌)は保険の対象となっています。問題は胃癌です。胃癌との関連もほぼ確実ですが、除菌することによって胃癌の死亡者が減少するかどうかがまだ完全に証明されていません。
ですから胃癌の予防のためのピロリ菌除去治療は一部を除いて保険適応にありません。ピロリ菌のいる人が必ず胃癌になるわけではありませんが、たばこを吸わない方が肺がんなどのリスクが減少するのと同様に、ピロリ菌もいない方が胃癌のリスクは減るであろうことは誰もが予想しています。
当院では、ピロリ菌の感染があるかないかの検査を行っています。また除菌の相談も受け付けています。特に胃の調子が悪いと感じている方、また胃の検診で慢性胃炎(萎縮性胃炎など)を指摘されている方はご相談ください。