昨日から梅雨入りとなりました。おかげさまで久々ゆったりとした日曜日を過ごすことができました。少年野球の球拾いに出かけずにすんだからです。なんてことはどうでもいいのですね。梅雨といえば紫陽花の美しい季節と答えるのが一般的ですが、私のような仕事をしている人間には、梅雨といえば「自律神経失調季節、だるいだるいを連発する季節、そして喘息の悪化する季節」の方が先に頭に浮かびます。
これは寂しい話ですね、まったく趣のない人間だと感じています。さて仕事に移ります。低気圧が日本に近づいてくる時、前線が日本に居座っている時は喘息は悪化しやすいのです。喘息というよりアレルギー反応が悪化しやすいという方が正しいでしょう。
特に小児喘息を持っていた方、アレルギー性鼻炎の症状を持っている方(つまりハウスダストやダニに対してアレルギーのある人)は要注意時期です。
悪化を示す特徴的なサインは、
(1)痰のからむ咳が続く。
(2)さらさらとした鼻水が増えるか鼻ズマリが強くなる。
この2点がポイントです。
多くの患者さんはこの状況で、「あ、またカゼをひいてしまった」と思うはずです。しかし実際にはアレルギーの悪化が大部分です。
発熱(37.5 ℃以上)のある場合は別ですが、少しくらい喉が痛いこと(いがらっぽい)はアレルギーで説明がつきます。市販されているかぜ薬に頼らず、呼吸器科の先生と相談されてください。これに関連して大事なことを2つ加えます。
1つは、痰または鼻水の色が白色~透明ならアレルギーを考え、黄色~緑色の場合は細菌感染の合併を疑うということです。細菌感染といっても多くは副鼻腔炎(別名、蓄膿症ともいいます)の合併です。こうなると症状が落ち着くまでには、かなりの日数が必要となります。10日から2週間は抗生物質の内服が必要となります。アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎を合併する人は結構多いのです。この場合はすぐに呼吸器科か耳鼻科に受診してください。1週間以上カゼが治らないといって受診する方の多くはこういう状態になっています。
2つめは、この時期に鼻ズマリが悪化するため、口呼吸が多くなります。とくに睡眠時が顕著です。こうなりますと喉に炎症が起き易くなり、結果としてカゼをひいてしまう形になりやすいということです。睡眠中にエアコンをつけっぱなしの場合は、なおさらです。
そしてこの後に副鼻腔炎の合併という状態が生じ、前述した悪性サイクルに入り込んでいくのです。これを予防するためには、鼻炎の状態を良好に保つように意識することが重要です。
抗アレルギー薬の内服や点鼻薬を上手に使いましょう。
春と秋の季節の変わり目、梅雨時、そして台風が近づいてくる時は要注意時期と再確認してください。さらに寝不足は大敵です。学生さん、子育て中のお母さん、気をつけてください。もう1つおまけに、古いエアコンを使っている方もご注意を。エアコンの中にはかなりカビが生えています。まめなクリーニングが重要です。
さらにしつこくもう1つ、修学旅行に行く学生さんにアドバイスをします。旅館の布団はダニだらけと考えましょう。アレルギーのある方、アトピー体質の方は旅行前にお医者さんと相談しましょう。事前に処置しておけば、少しぐらいの枕投げはヘッチャラですから。